お昼休みの怪

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「やだっ、ちょっとカッコいい〜」 「やっぱイケメンだね」 「人のモノになったら余計によく見えるわね!」  カサカサと茂みの中を動く音がして、3人位の足音が去っていった。 「? なんださっきの?」  祐一は、首を更に傾げた。 「ヨシッ! コレでいいわ」  丁度そのタイミングでレナがスマホから顔をあげ、そう言ったので祐一はそちらに視線と身体を戻した。 「麗奈さん、どうしたの急に?」  麗奈はアルカイックスマイルを浮かべ 「お父さんに、私と祐一さんの貴重な時間を取り上げたら、お母さんに全部言いつけるよって、釘刺しときました」  素晴らしく笑顔だった。 「じゃあ、夏はアメリカなんですか?」 「うん。契約だからね」 「そっか・・・」 「一緒に行く? 社長は許可してくれるって言ってるけど、パスポートを確認しないとダメかもしれないとも言ってたよ」 「え」  急にカーッと赤面する麗奈。 「一緒に行ってもいいんですか?! 仕事なのに?」 「現場見学もできるよ? ちゃんと許可さえ取れば。撮影中は離れるけど、ほぼ一緒にいられると思うけど?」  うーん、と一度首を傾げて考えてから、 「撮影がつまらなかったら買い物でもしてたらいいし。最初の3日は本土だけど残り1週間はハワイに移動だからチャペル見学もできるし、挙式も予約さえしてたら出来るはず。どうするか決めといてくれる?」  優しげに微笑む少しだけ垂れた目を見て、麗奈は耳まで赤くなり、幸せ過ぎて心臓が爆発寸前になり目が回った。  彼女が爆死する前に誰かこの男を止めろ! と言ってくれる親切な通行人はいなかったようである・・・
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