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目の前のお客様はボランティア団体の代表だったのだが、その代表の連れが祐一的に不味かった。
「ユウ! ドウシテココニイル?!」
片言の日本語で身振り手振りがオーバーアクションなプラチナブロンドの女性が1人で大騒ぎをしているのを見て、その場の全員が祐一に一斉に視線を注いだ後、祐一とその女性を皆が交互に見比べる。
「石川さん、この男性は 彼女と知り合いなんですか?」
ボランティア団体の代表の男性は、プラチナブロンドの美女が大騒ぎをしているのを横目に、会長に問いかけている。
この目の前の美女の正体はハリウッドの女優で、映画撮影で会ったことが1、2本程度ある相手だ。
スタントマンとしての出演しかしていないため殆ど会話もしていないはずなのだが、何故かクランクアップの時から祐一が付き纏われたという経緯のある相手であった。
残念な事に祐一の方も覚えている位にはしつこかったため、流石に表情が凍り付いた。
「そこは知らないねえ。ただ彼は、僕の孫の婿になる予定の男だよ、今は専属秘書をしてもらってるけどね」
何時もの、軽やかな笑顔でお愛想笑いをする辰夫。
「おお、そうですか入婿さんですか〜」
爺共は和やかに会話を進めているが、ボランティア団体のプレゼンテーター兼キャンペーンガールとして抜擢された彼女は通訳と何やらペラペラ話している。
「エマ嬢が、秘書の神谷さんに観光案内をお願いしたいと言ってます」
と、通訳がとんでもないことを言い出した。
いや、まあ。何を言ってるのかはコッチも聴いてるから分かってるけど、ヤメテ!
祐一はゲンナリした。
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