66人が本棚に入れています
本棚に追加
「祐一くんてば、俳優を本ッ当にやってたのね〜。アタシ吃驚しちゃったわよ〜 カッコよかったわ! 見直したわ〜」
「だから、Ninjaグリーン様だってばあ!」
美奈とアイーシャは5階の社長室の応接用ソファーに座って祐一の入れた珈琲を飲んでいた。
向かい側には隼雄社長と樹専務が座っていて、話題の主である祐一はインカムを耳元にセットアップして社長室の自分の机で来週の予定をパソコンにすごい勢いで打ち込んでいる・・・
「大騒ぎだったらしいじゃないか?」
隼雄が呆れた顔で祐一を眺めながら珈琲を啜る。
「そうなのよ〜 物凄い早口で喋ってたから周りはついて行けなかったけど、結局の所、エマちゃんは失恋よね〜 可愛そうだけど仕方ないわねぇ」
「エマちゃんて。義姉さん、ハリウッドの女優さんでしょ?」
樹専務が苦笑いをする。
「だって、あの子、15歳位でしょ? 祐一君」
「「「え?」」」
祐一はPCに目線を固定したまま、
「そうだと思います。3年前はジュニア・ハイスクールに入ったばかりでしたからね。女優っていうか3年前は子役でした」
そう言いながら、書類をシュレッダー行きのゴミ箱にポイっと捨てる。
「ええ~ もっと年上かと思ってたよ!」
「プラチナブロンドってのは顔つき次第で老けて見えるからな〜」
隼雄の言葉に
「ちょっとお父さん、そういうのは大人びて見えるって言うのよ!」
と美奈が、眉をしかめる。
「ヘイヘイ。まあ、大人しく撮影作業に入ってくれたらしくて良かったよ。つっても我社はスポンサーとして協賛金出すだけだから痛くも痒くも無いんだがな〜。祐一がチットばかりうるさい目にあっただけだよな」
ジト目になる祐一を見て、がははははと笑ういつもの隼雄である。
「ねえところでさあ、ずっと気になってるんだけどさ、祐一くん」
「はい?」
「麗奈のあのティファニーの婚約指輪、いくらだったのか教えてくれる?」
最初のコメントを投稿しよう!