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挙式の夢
「明日の土曜日、出来たら一緒に出掛けたい所があるんだけど大丈夫?」
夕食の牛タタキを口に運びながら、
「もうそろそろ何処で挙式をするか決めとこうと思ってさ。場所によってはすぐ借りられるけど、そうじゃない所もいっぱいあるから」
何故か麗奈より祐一の方がこういう事にはマメである。
「ウェディングドレスも着てみたいんじゃないの? 俺なんかはさ、はっきり言ってお仕着せだからいいけど麗奈さんはそういう訳にはいかないでしょ?」
もぐもぐと口の中で咀嚼しながら首を傾げる祐一。
一方麗奈はそれを見て
『カワイイ! 祐一さん素敵!』
と悶えていた・・・困ったチャンである。
「ハワイは、どうする?」
ウェディング雑誌を広げると、海外の特集が見開きページでバーンと広がっている。
青い空、白い雲、広がるエメラルドグリーンの海。
白い大きな窓からパノラマのように景色がひろがり、その前にウェディングドレス姿の女性モデルとタキシード姿の男性モデルが寄り添って立っている。
「俺は、夏に行く予定だからって言ったけど、別に他のとこでもいいよ。国内でも良いところはいっぱいあるしさ」
ウ~ン、と麗奈は首を捻りながら困った顔になった。素敵だなと思わないわけでは無いのだが・・・
「小さいころから結婚式とかあんまり考えて無かったんですよね。なんせ母親が女神様だって知ってたから。神様の前で誓うっていうのが実感湧かなくて・・・」
とんだ弊害である。
祐一も確かに、と胸中で同意した・・・
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