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更にやって来たお騒がせ女!
「何しに来たんだよ!」
祐一は腰に手を当てて、玄関で彼を襲っていた女性、玲子を睨んだ。
彼女は廊下に正座をした状態で黒猫を頭に載せている。
というか、黒猫が隙あらば爪を立て頭を齧ろうと乗ったままで狙っているようである・・・
「うう。ごめん祐一、イタッ! 猫のけてよ〜」
「知るか! お前が悪いんだろ! 何で俺を襲ったのか説明しろ!」
祐一さんは、普段滅多な事では怒らないのにな、と思いながら冷めた珈琲をソファーで啜る麗奈。
「だって、寂しかったんだもん! 噂で祐一が、結婚するって聞いて〜」
「ニギャッ!」
玲子と呼ばれた女性は泣き真似をしながら、猫を頭の上から追い払おうとして、反撃されている。
「俺が結婚しようが、海外に行こうが、たとえ死んだとしてもお前には関係ないだろ! 大体お前彼氏はどうしたんだよ! 何で元彼を襲うんだよ!」
どうやら、俯いている玲子と呼ばれた女性は祐一の元カノだったようである・・・
「先輩は二股かけてて、元サヤに戻っちゃったのよっ!!」
キッと祐一を見上げる女性は、綺麗な顔をした美人だった。
キリッとした眉は綺麗に整えられており、メイクは結構派手目だが、負けてないくらいの彫りの深い造りの顔である。
意思の強そうな瞳はアーモンド型でキチンとマスカラとアイライナーで整えられており、いかにも大人の女性という感じである。
よく見れば仕立ての良いパンツスーツを着ており、キャリアウーマンといわれると、そんな感じだなと頷いてしまうかもしれない・・・。
しかし先程の衝撃的な姿を麗奈の脳がしっかり記録してしまったようで、どうしても痴女レッテルがキャリア・ウーマンの上に貼られてしまって、どうにも剥がせそうにない。
もし祐一と並んで立っていたら、凄く近寄りがたい感じのカッコいいカップルに見えるんだろうなと考えてみるのだが、脳内でどうしても祐一を襲っている姿に上書きされてしまう。
しかも着物姿の祐一が帯の端を掴まれ、くるくると解かれながら『おやめください』とか言っているので、多分これは脳のプチパニックなんだろうと呑気に考える。
最近、祐一絡みの女性関連の撃退戦が続いており、随分と鍛えらたようで、変に胆力が付いた気がする麗奈であった。
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