更にやって来たお騒がせ女!

2/3
前へ
/102ページ
次へ
 玲子の頭の上で彼女を脅していた猫がストンと廊下に降り、祐一の足元にお座りをして毛づくろいを始める。  どうやら黒猫に玲子は許されたらしい。 「クロ、助かった。ありがとう」 「なおん!」  猫が何故か返事をして胸を張る・・・   麗奈は迷ったが、 「クロちゃんおいで」  と、声をかけた。猫はスルリと麗奈に近寄り、彼女の膝にヒョイっと乗って丸くなる。  その様子を玲子と呼ばれた女性は、目を丸くして見ていた。  玲子は祐一と大学生の時に付き合っていた女性で、就職と同時に別れたのだという。 「こんな事になるくらいなら、あの時祐一を選んでれば良かったのに・・・ 私馬鹿よね」  祐一が、非常に嫌そうな顔になる。 「選ぶな阿呆。本来付き合ってたのは俺とで、お前が二股を掛けてアッチに行ったんだろうが!」 「だって、将来有望株だって本人が言ったんだもん!」  口車に乗せられたらしい。 「それで今度は自分が二股かけられて、振られたからって、俺のトコに、く・る・な!」  祐一はソファーに座る麗奈にピッタリくっついている。 「見せつけちゃってさ、何なのよもう!」 「俺の婚約者だよ! お前に関係ないだろ」  麗奈は首を傾げ、 「それで? どうするんですか? このまま朝までずっと喧嘩してても(らち)が明かないでしょう?」 「そうだね」  そう言って優しく麗奈を抱き寄せて、 「玲子、タクシー呼ぶからお前は帰れ!」  と、ぞんざいな感じで言い放つ祐一。 「え? やだあ。泊めてよ。祐一冷たい! アタシ今日は帰れないんだからさ〜」  この人も言ってる事が無茶苦茶である・・・ 「何で帰れねえんだよ」  急にジト目になる祐一。 「だってさあ、帰ったらいるじゃん・・・」  口を尖らせる玲子。 「先輩が居るのよ!」
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加