批評について

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 まあそういったところで一応よし、指摘するポイント、褒めるポイント、このあたりだろうなと決めたとして。絶対に強い言葉(すべきだとか正しいだとか)は使わないように、そしてわかりやすい説明を、と心がけています。  小説だって芸術なわけじゃないですか。ルールだとか決まり(すべきもの、正しいと言われるものって多分この辺りですよね)を守ることで表現が阻害されるって考えるだけでうんざりしませんか?  もちろん、知らずに、無意識に不作法を致す、ってのは駄目だと思います。それでもその不作法が芸術として成立する可能性はあるし、不作法の効果も芸術では無視できないものだと思うんです。その可能性を殺さないで欲しいなと。  だからまあ、そういった固定観念に縛られるってなんでしょう、創作者からはかなり遠いものなんじゃないかなと私は思います。思想と言葉が強い。  なんと言いますか、つまり私が言いたいのは、批評には、指向性がなければないほど良いんじゃないかなということです。ありのままのその小説の姿を観察して、作者の気づいていない作品の表情を的確に分かりやすく(伝言ゲームみたいなものですから)教えてあげること。それが批評だよねと。  これだけ意気揚々と語っていても、私はどうしてもお節介で、批評に指向性を与えてしまいがちですけど。まあ、そう考えてはいるわけです。
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