お客様は神様です

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「店長を呼べ! お前では話にならん!」 「え、ええと、申し訳ございません」  僕は深々と頭を下げる。  コンビニでバイト中、やってきたお客の男性が怒り出した。そういうときは、まず言い返さず頭を下げておいた方がいいと店長からは言われている。言い返すと余計に逆上してしまうことがあるらしい。  が、初めてのことで戸惑ってしまう。コンビニでバイトなんてこれまでやったことがなかったから。  まずは店長の言う通りにしてみたけれど、 「おい、聞こえてないのか? 店長を呼べって! お前じゃ責任も取れないんだろう? さっき買った弁当に箸が付いてなかったんだ。この店は客のことをどう思ってるんだ。手で食えとでも言うのか!」  それだけのことで、どうしてそこまでと思う程、男性は怒り狂っている。 「お客様は神様だぞ! 俺は神様だ!」  男性が叫んだ。  僕は思わず顔を上げて男性を見た。顔を真っ赤にして怒っている様子だ。でも、 「そうなんですか!」  僕は嬉しくて弾んだ声を上げてしまった。 「僕もなんです!」 「はあ?」  男性が顔を歪ませる。
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