お客様は神様です

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「え、あの? あなたも神なんじゃないんですか? だから、僕もなんですよ。神なんです。ああ、だから正体をバラしても大丈夫だと思ったんですね? 人間には秘密にしておかないといけないですもんね。あなたも修行中ですか? でも、僕も神だからよかったですけど、人間に向かって怒鳴り散らすのはやめた方がいいと思いますよ。あ、もしかして、僕がどれだけ人間になりきっているか試すつもりだったんですね? ありがとうございます。わざわざ僕のために」  僕はにこにこと笑って頭を下げる。 「ここに来てから自分以外の神に会うのって初めてで嬉しいです」  そう言った瞬間、僕の背後がパッと明るくなる。 「ぐっ! 眩しい!」  男性が驚いたように目を閉じる。 「な、なんだ!? まさか、新しい防犯装置か!? そんなものが置いてあるのかこの店は!」 「あ、ごめんなさい」  同族に会えたことに嬉しくなって、思わず後光が射してしまった。  いつも気を付けていたのに。  神だとバレてはいけないので抑えなくてはいけないのに。  彼も後光とは思わず、人間が作った装置だと誤解したみたいだ。 「ちょっと光っちゃいました」  僕は照れ隠しに笑う。
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