お客様は神様です

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「でも、この世界ってもう後光とかいらないくらい明るいですよね。今だって夜なのにこんなに明るくて。僕、びっくりしちゃいました。人間の文明ってすごいんですねぇ。あなたもそう思いませんか?」  思わず饒舌になってしまう僕に、何故か男性が後ずさりする。 「お前、頭おかしいんじゃないのか? 何言ってんだ? 今日のところは勘弁しといてやる」 「店長は呼ばなくてもいいんですか? さっきあんなに……」 「もういい! 気持ちの悪いヤツだな。クソッ」 「あ、お箸……」  箸を渡す間もなく、逃げるように男性が行ってしまった。 「もう少しお話ししたかったのになぁ……」  僕がしょぼんと呟いていると、 「大丈夫だった?」  店の奥から店長がやってきた。 「今、モニターで見て気付いてね。よくこの店に来るクレーマーが来ていたみたいだったから慌てて来たんだけど」 「クレーマーですか? 先ほどの男性なら、慌てて帰られましたよ」 「その人だよ。毎回、来ては店長を出せと怒鳴り散らすから店としても困っているんだ。よく帰ってくれたね。どうやって追い返したの?」 「追い返すなんてそんな、少しお話をしただけです」  僕はにっこりと笑って答える。本当に、どうしてあんなに慌てて帰って行ってしまったのだろう。
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