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「人間界に行ってるとき、そんなことがあったんだ。でもね、何故かそれから彼は僕のバイトしているコンビニに来なくなったんだけどね。それで僕のお陰で厄介な客が来なくなったって、店長には感謝されたんだ。来店する度に呼び出されて怒鳴り散らされるから、仕事にならなくて困ってたって。でも、せっかくだからもう一度くらい話してみたかったな。どういうつもりであんなことしてたんだろうって聞きたくて」
同じく人間界で修行して帰ってきた友神に、僕はあの時のことを話していた。
「だってさ、僕だけじゃなくて人間にまであんな態度を取ってたみたいなんだよ。僕たち神が人間界に修行に行くのって、人間に対して傲慢にならないように、人間と同じ目線で世界を見ることを学ぶためでしょう? 彼はきちんと理解してたのかなぁ。それとも、なにか理由があったのかな」
「うーん。それって……」
僕の話を聞いた友神は何故か複雑そうな顔をして唸った。そして言った。
「修行しに行ってたの、日本だよね?」
「うん。日本って八百万の神がいるんでしょう? だから、きっと彼もその一人なんだよね」
友神がふるふると首を横に振る。
「違うの?」
「私も日本に行ってたんだ。それで、知ったんだけどね。それ、日本人の言い回しの一つらしいよ。お客様は神様です、って。だから、それ、神じゃなくて人間だよ。まぎらわしいから、やめて欲しいよね」
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