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Prologue: 再会
「―Ladies and gentlemen, welcome to the British Airways B017. We do have quite a strong head wind from Rome, Italy; It is to contend with today which gives us rather along flight time. It is because that current estimated landing time at Heathrow is ten minutes past six o’clock in the evening. Besides, The weather at Heathrow for our arrival is forecast be a fine, clear day, with light winds and the temperature in the mid- 60’s Fahrenheit.」
(―ご搭乗の皆様、本日は当便をご利用頂きまして誠にありがとうございます。当便の機長より皆様に到着時間についての連絡がございます。本日はローマから非常に強い向かい風が吹いているため、フライト時間が幾分長くなります。このため、現時点でのヒースロー空港到着時刻は、午後六時過ぎになるかと思われます。なお、到着時の天候は快晴、風は弱く気温は華氏60度大半ばとの予報です…)
パイロットから機内アナウンスがあったのは、シンガポールを出発してから一時間後、機内食が運ばれてきてまもなくのことだった。
「…イタリアで強風だとよ。この便ってたしか直行便じゃなかったよな?」
上条和樹は機内食のローストビーフを口に運んでいた手を止めて、隣にいる後輩のネイサン・リーに話しかけた。
「ええ。ローマで給油してイギリスに向かう予定でした。ですが今のアナウンスだと難しそうですね。念のために空港にいる弟さんに連絡した方がいいかもしれません」
スープを口にしていたネイサンは、すぐに同意した。
ネイサンがそういうや、和樹は尻ポケットからスマホを取り出すと、メールを打ち始めた。
「…landing time at Heathrow is…」
(…ヒースロー空港へ到着時間は…)
隣で和樹がそう呟くのを聞きつつ、キャビンアテンダントが飛行機の給油先をどこに向かわせるのか、耳をそばだてることを忘れなかった。
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