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旅はノープランで
「ん~~ッ、クレープ美味しい〜♪」
食堂を出た後、屋台で売っていたクレープを購入、久しぶりの甘味を堪能している。
一通り満足した所でいよいよ行動を開始する事にした。
色々考えたけど結局急ぐ旅では無いのでのんびりしながら行こう、と決意した。
長旅になるのは確定なので道具屋で旅に必要な物を購入した。
「こんなもので良いかな? じゃあ出発進行〜」
私は王都の外へと向かった。
門番に軽くお辞儀をして王都を出ると景色は一変自然豊かな風景が出迎えてくれる。
後ろを振り返ると高い城壁、正に別世界だ。
「まぁ、私はこっちの方が好きだけどね」
自然を見ると癒やされる私はやはり根っからの田舎者なんだろうなぁ、と思う。
王都にいれば不便な事も無いしなんでも手に入れる事が出来る。
だけど、私には合わなかった。
多少の不便があった方が私は良い。
「しかし、のどかだなぁ〜……、ん?」
王都を出てだいぶ歩いて森の中を歩いていると馬車が止まっているのを発見した。
近づいてみると車輪は外れ幌にはところどころ穴が空いている。
「えっと、誰かいませんか?」
「うぅ……」
うめき声が聞こえたので馬車の下を見ると男性が倒れていた。
私は慌てて駆け寄り男性に声をかけた。
「おじさん、大丈夫ですかっ!?」
「な、なんとか……」
「何があったんですか?」
「と、盗賊にやられたんだ……、お嬢様を誘拐されてしまった……」
男性はとある公爵家の執事だそうで、令嬢を自宅に帰る途中だったそうだ。
そこを突然襲われて男性は盗賊に殴られて気絶してしまったそうだ。
事情を聞いた私の中の巫女魂がウズウズしてきた。
「わかりました、私がなんとかしましょう」
「お嬢さんが?」
「はい、私元巫女なので」
私はそう言ってニッコリ笑った。
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