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決して声を出してはいけませんよ
次の日、僕はいつもわくわくした気持ちで教会に行くのに今日は違った。どこかで僕のことをマーチンが見ているじゃないかという不安も常につきまとっている。
教会の前の花に水をあげているヴィスタ様を見つけた僕は、いつもなら駆け寄りたい気持ちなのに、今日は木の陰に隠れてしまった。
「どうしたんですか?」
ヴィスタ様の声がした。木の陰に隠れていたのに、ヴィスタ様は僕に気付いていたらしい。
「あ・・・はい」
僕は、ゆっくり木の陰から姿を現した、ヴィスタ様は、いつも通り眩しかった。
「今日もよく来てくれましたね。さあ、入りましょう」
「・・・はい」
僕は、ヴィスタ様について教会に入った。ヴィスタ様は、そんな僕の様子を少し不思議そうに見つめている。
「何かありましたね」
ヴィスタ様は、教会に入ってすぐに僕に耳打ちをした。
「あ・・・」
僕は両手で口を押えてヴィスタ様から顔を背けた。
「い、いえ・・・その」
「ルーク、私はルークのことならなんでもわかるんですよ」
ヴィスタ様は、僕の頬を優しく撫でた。
「教会へ通っていることがバレましたか?」
ぎくりと僕の背中が跳ねた。僕が何も言わないでいると、ヴィスタ様は更に続けた。
「そして、何か言われましたね。お別れを言いに来たのですか?」
ヴィスタ様は、酷く悲しい表情をした。
「ち、ちがいます」
僕は、ヴィスタ様の腕にしがみついた。
「お、お清めの儀式をしないことを条件に、僕が教会に行くことを黙っておいてもらえることになり・・・ました」
「見られているはずはないのですがねえ」
ヴィスタ様は、震える僕に対し、冷静な様子だった。
「だから、その、今日からお清めはできません」
僕は、そういってヴィスタ様の顔を見上げた。ヴィスタ様は、少し目を見開くと、
「わかりました。では、今日は簡易的ではありますが、最後なので穢れの放出だけ、させてあげましょうか。家でも簡単にできますからやり方を教えてあげますよ」
ヴィスタ様は、僕の肩に優しく手を置いて囁いた。
「ほ、本当ですか!」
「はい、ふふっ、ただまたお清めの部屋に行くと、誰か見ているかもしれませんからね。一番前の席で教えてあげましょう」
「あっ、はい」
僕は、ヴィスタ様について赤い椅子たちを通りすぎ、一番前の真ん中の席に腰かけた。
「今回は、服を脱がなくても大丈夫です」
ヴィスタ様にそう言われて僕は目を見開いた。
「それでは外でもできますね」
「いいえ、外ではだめです。勿論私の前でもこれっきり。私が見せてとお願いした時しかやってはいけません」
ヴィスタ様は真剣な表情でそう言った。僕はごくりと唾をのむ込んで頷いた。
「では、私は古い聖書をとってきます。いい子にして待っていてくださいね」
ヴィスタ様はそういっていつも僕と一緒に入る扉に入っていってしまった。聖書?聖書って悪魔祓いで使うって聞いたことがあるけど、何に使うんだろう。僕は少し緊張したけど、ヴィスタ様の考えることだ、何か考えがあるのだろう。僕は信じて待つことにした。少しして戻ってきたヴィスタ様は、黒い表紙の聖書を持ってきた。
「聖書の表紙です」
ヴィスタ様は、聖書の表紙の下にまた別の本を挟んで一冊の聖書のようにしていた。
「驚かせてごめんなさいね。これ、中身は普通の小説なんですよ」
ヴィスタ様はそういっていつものようにふっと微笑んだ。僕はその笑顔にふっと緊張を緩めると、
「この大きな聖書をまず、ルークの膝の上にに広げます」
ヴィスタ様は、そういって僕の膝に本を置いた。そして、あまり本の重さが僕の膝にかからないように持っていてくれた。
「ルークに聖書を読ませるわけにはいきませんからね。この方法では他人に見られると穢れが上手く放出されませんので、布団でもなんでもこうして膝から上を隠すようにしてください」
ヴィスタ様は、丁寧に教えてくれた。
「はい」
「よろしい、では次はローブの下ズボンの中にある男性器を見せてください」
そう言われて僕は首を傾げた。
「・・・男聖器がついているのはヴィスタ様だけです。僕についているのはヴィスタ様の男聖器と姿形は似ていますが紛い物のただの棒です」
僕がそういうと、ヴィスタ様はきょとんとして少し微笑んだ。
「そうですね、お清めの道具である男性器がついているのは私だけです。でも、ルークの股の棒にも名称はあるんですよ」
「そ、そうなんですか」
「はい」
ヴィスタ様は、僕の耳元に唇を近づけていった。
「おちんちん、です」
「おちんちん、ですか」
「そう」
男聖器と呼ばれたヴィスタ様のモノに比べて僕のは気の抜けたような間抜けな名前だ。なんだか恥ずかしくなってきた。
「では、これから私がおちんちんを出してくださいと言ったら素直に出してください」
「はい」
ヴィスタ様は、ドキドキするくらい、僕の耳元に近づいて囁いた。
「ルーク」
「は・・・はいっ」
「おちんちん、出してください」
「は、はいっ」
僕は、素直にローブの下のズボンからおちんちんを出した。
「よし、いい子いい子」
僕は、むき出しになったおちんちんを眺めるヴィスタ様を沸騰しそうな頭で見ていた。
「では、初めてなので最初は私がやりますね。ルークは聖書をしっかり持っていてください」
「はい」
「決して声を出してはいけませんよ」
そう耳で囁かれた瞬間に、ヴィスタ様は僕のおちんちんを握った。
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