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◇
2か月後、とうとう私の卒業式の日がやってきた。
あれからパパとは一度も会っていない。正直私もドキドキだ。
「ねえ、ママ。パパは大丈夫かなあ?」
「うーん、どうだろうね。ちょっと荒療治だったからねぇ」
おばあちゃん家に行くといいながら、実はママの所にいた私。
なかなか痩せる努力をしないパパに、二人で結託して少しお灸をすえたつもりだった。
「あーいたいた! あ、ママも? 莉渚、卒業おめでとう」
突然後ろから聞こえた声に、同時に振り返ったママと私は思わず目を疑った。
「パ、パパ……?」
「え……嘘、本当にパパなの?」
そこにいたのは、どこかで見たことのあるジャ○ーズ系イケメン。
いや、以前に見た写真よりも幾分か渋みが増している。
私はばっとそのイケメン目掛けて走り出した。
「凄い凄い、やったねパパ! 別人みたいにカッコいいよ!」
「そうだよ、パパは頑張ったんだよ!」
私が勝手に申し込んでおいたライ〇ップで相当しごかれたらしい。
それにしても流石だね、ライ〇ップ!
「ねえねえ、見てママ! パパってばこんなに頑張ったよ!」
「本当ね、ここまで戻してくるなんてびっくり! また惚れ直しちゃったかも」
「え、ホントに? じゃあママも帰ってきてくれる?」
「そりゃあもう、モチのロンよ!」
パパの顔がパッと明るく輝いた。
ママの顔もほんのりと紅潮している。
やっぱりね、パパさえ頑張ればこうなる事は予測していた。
だって、元々はママがパパに一目惚れして猛アタックした結果、パパがその執念に折れたというのがこの二人の馴れ初めなのだから。
「中学の入学式は、同じ家から三人で一緒に行こうね」
私の言葉にパパとママは、一瞬きょとんとお互いの顔を見合わせた。
それから私の顔を見て、ふふっと二人同時に優しく微笑んだ。
~終~
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