13人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が自身で果てた後、男がようやくベッドから立ち上がり近づいてくると、そっと頭の上に手を乗せてきた。
「よく出来ました。次は、一ヶ月後の15時にあの店で」
「行かないって言ったら?」
「そのナース服、お前ので汚れたまま店に返すとか?」
「ふざけんなよ……」
「ふざけてないけど? それにお前はNOとは言わない」
「何で……」
「見られる快感を知ったから。きっと来る」
「すげぇ、自信だな」
「まあね。じゃあ、また一ヶ月後に」
そう言うと、男は先にビジネスホテルを後にした。
一人残された部屋で、果てた気怠さから解放されると自身の姿を鏡に映す。
こんな目に遭って悔しいと思う気持ちと、自身の欲望が飛び散ったナース服を目にして胸の奥がドクンと弾けた。
こうしてお互いの名前も連絡先も何も知らないまま、出逢った日は終わった。
二度目は、あの男に言われた通り……俺は気がつくと店の前へと向かっていた。
あのナース服は、部屋のクローゼットの奥へ捨てられないまま残っていて、時々目にするとあの日の感情が蘇ってきて、自分の中心部が疼くのを感じる。
店の前に着くと、入り口から少し離れたところに男の姿を見つけた。
あの日と同じように、二人でビジネスホテルの一室へ着くと、部屋に入るなり鞄の中から取り出した制服は、チアリーダーだった。
それを手に持ち、ユニットバスで着替えると、ボクサーパンツもすべて脱ぎ捨て、男の前へ立つ。
そして言われるままのポーズをとり、最後はまた自身で果てる様を、男はただじっと見つめては、果てた俺の頭にそっと手を乗せると、次の約束を伝えて部屋から出て行く。
こうして、俺たちの師弟関係は成り立って行った。
あの視線を全身に感じるだけで反応してしまう。
決して触れられることがないのに、いつか触れて欲しいと期待してしまう。
それなのに、男は一度も俺の身体には触れて来ない。
綺麗だ、似合ってるという言葉はくれても、その先にある快感を与えてはくれない。
触れて欲しい……いつの間にか目覚め始めていた感情に、俺自身が一番驚いていた。
執筆時間…3月16日、3:00〜4:10
最初のコメントを投稿しよう!