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会う度に少しずつ露出度は増えていくのに、一向に身体に触れてくることはなくて、どんなに言われた通りに恥ずかしい格好やポーズをしても、最終的に行き着く答えは……
【俺に魅力がないから……】
それしか思い浮かばない。
猫耳をつけて、猫みたいに手を丸めながらゴロゴロと自分の顔を撫で回したり、ベッドの上で仰向けになり、猫がお腹を撫でて欲しい時の格好をしたり、そのまま四つん這いになって、身体を前に伸ばしながらお尻を突き出したり、目の前で言われるままポーズをしても、視線だけはしっかりと俺を捕らえているのに、やっぱり指一本触れてこない。
どうすれば、その指で俺に触れてくれるの?
そんな思いがチラつくようになっていた。
月一回の逢瀬は、いつの間にか俺の中の楽しみに変わっていて、会いたくて、その視線を感じたくて、そしてその先を求めるようになっていた。
渡されたメイド服を身に纏うと、鏡越しに自分の姿をチェックする。
胸下までのフリフリのチェック柄の半袖の上と、太腿の上部までしかないフリフリのスカートは、少しでも屈めば陰部が見えてしなうような短さだ。
男の俺が着ても、ちっとも似合わない。毎回そう思うのに、あいつはその真逆の言葉をくれる。
「やっぱ似合う。可愛いじゃん」
「嘘ばっか……。毎回思うんだけど、こういうのは男の俺が着るよりも女子が着た方が似合うし、可愛いだろ?」
「俺はお前が着るから似合うと思うし、可愛いって思う」
「その割には、触れて来ないじゃん」
「はっ? お前……」
「似合うし、可愛いって思うなら、俺に触れたいって思わないの……?」
今まで感じていた疑問を初めて言葉にした。
ずっと聞けなかった。聞いてしまえば、この関係が終わってしまうかもしれないと思っていたから。
お互いに向かい合ったまま、まるで時間が止まってしまっているかのように感じる。
気まずい……それでも俺は本当のことが知りたい。
「じゃあ、お前は俺に触れられたいって思うのか?」
質問を質問で返してくる。
もう、今まで十分に恥ずかしい姿を見せてきたんだから、何も隠すことなんてないんだから、その手で触れて欲しいって言うくらい簡単なはずなのに……
言葉にすることは出来なくて、俺はただ首を縦に振った。
執筆時間…3月17日、3:05〜4:05
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