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丹生 陽斗(にお はると)
丹生陽斗には今年、同い年の妹が出来た。
月森桃花。クラスで一番目立つグループに所属するカースト上位にいる美少女だ。
長い髪をゆったりとしたおさげに結び、鳥の羽のようなまつ毛に眼元は甘く、口元も愛らしい。
少しばかりキツイ性格だが、そこは物事をはっきりと言う性格として変換されている。
名前のように、甘い匂いをさせる花に群がる虫のごとく彼女に好意を寄せる者は後を絶たない。
先日も隣のクラスの異性に呼び出されて告白されたと家でボヤいていた。
まったく会話をしたこともない人物だったので、丁重に断ったそうだ。
開いた窓の風がふわりとカーテンを撫でる。
膨らんだ姿が、この前履いていた桃花のスカートに似ているなとふとボンヤリと思い出していた。
ポケットからスマートフォンの振動を察し上着から取り出すと、桃花からのメッセージが入っていた。
豆腐忘れるな、とのことである。
最近近所で見つけた個人販売の豆腐屋が美味しくてハマっているのだそうだ。
今日から両親は旅行に出かけている。
食事は不自由しないようにと十分な食費を渡してもらったが、どうも桃花は料理したいらしい。
お互い片親同士で料理はある程度できるので、自分たちの好物を作る方が手っ取り早いのだ。
今日はその材料を買いだめするのでスーパーによるつもりなのだ。
陽斗はもちろん荷物持ちをさせられるのだろう。
既読がつくだろうと、了解、と心の中で承諾し陽斗はスマートフォンをポケットにしまった。
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