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「ね?」とユキに期待の眼差しを向けられて、千歳は視線を宙に泳がせる。
しかし、ユキはへそを曲げるどころか、
「じゃあ、俺とも結婚して!」と言い放った。
エレナは顔を伏せて笑いを堪えているし、樹はレグルシュに向かって何度も頭を下げている。
「え……? えーっと」
「おい。ふざけるな。千歳も斗和もお前にはやらん」
視線をぶつけ合う二人に、唯一入っていけるエレナが止めに入る。
「もう! ユキもあんたも! 千歳くんが困ってるでしょうが」
「だったら最初から連れて来るな」
「はいはい。千歳くん、朝からごめんね。ちょっと挨拶するだけだったのよ。私達、これから家族でお出かけだから」
「そうだったのですね。お出かけ、楽しんできてください」
「ありがとう。ユキがどうしても千歳くんに制服を見せたいって言うから。また家に戻ってお着替えしてから出発ね」
小学校でも、ユキは元気そうで楽しく通えていてよかった。
千歳とレグルシュは、三人を門扉まで見送りに出る。
外は澄み渡る晴天で、お出かけ日和だ。
「ユキくん楽しんできてね」
「うんっ! ちーにお土産と写真いーっぱいあげるね!」
「ふふ。嬉しい。楽しみにしてるね」
そして帰り際、唐突にユキが
「レグとちー。キスしてた!」
と皆に言った。
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