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愛人オメガは運命の恋に拾われる
レグルシュと晴れて恋人同士になった翌日、千歳は宇野木の元へ行き、退職を撤回させて欲しいと頭を下げた。
「お騒がせして申し訳ありませんでした」
宇野木は「何のことだろう?」と、惚けた顔で言った。
千歳が説明しようとしたところ、後ろからレグルシュの声がした。
仕事だと言って早朝に出て行ったが、行き先が一緒だとは思わなかった。
「今日はシフトじゃなかっただろう」
「俺が手伝って欲しいって、和泉さん呼んだんだよね」
「……あまり千歳に負担をかけさせるな」
開店準備を始めるレグルシュの背中を眺めつつ、宇野木はにんまりと相好を崩した。
「レグと仲違いしたのかな、って心配してたけど、そういうわけじゃなかったんだね。安心した」
「あの、退職のことは……」
「うん? そんな話あったっけ。和泉さんはこれからもここで働いてくれるんだよね?」
そうして、レグルシュに見つからないように、宇野木は軽くウインクをした。
千歳は小声で「ありがとうございます」と、お礼を言う。
「こっち手伝ってくれるなんて、どういう風の吹き回しだよ」
「千歳はそろそろ休職させないといけないからな。俺が慣れておく必要がある」
「……へっ?」
「身重なんだ。千歳は」
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