二度目の恋

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家にあるものは何でも食べて、空腹に耐えられないときは、恥を忍んで他の家に食べ物を分けてもらっていた、と言った。 そんな生活が何ヶ月続いたのかも分からない。 ある日、母親が突然訪ねてきて、レグルシュを日本へと連れ帰った。 ろくに面倒も見なかった父は「誘拐された」と騒ぎ、親権を巡る裁判は今も続いている──と。 「姉貴の旦那は婿入りして周防になった。周防は俺の母の旧姓だ」 「それって……それなら、レグの姓は」 握った手に力が籠められる。 レグルシュは間を空けて、「父の姓だ」と言った。 「俺は父の姿を見て恐ろしくなった。俺にも運命の相手……オメガが現れたとき、父のように破滅するのではないかと。アルファであることが嫌になったし、オメガを憎むようになった」 「レグ……」 レグルシュも千歳の隣で横になった。 「オメガを憎んでいる」──彼の過去を知り、千歳はただただ涙を溢した。 幼少期に辛い思いをしたからこそ、レグルシュは一人になったユキを放ってはおけなかったのだ。 レグルシュの腕が、千歳とお腹の子を優しく包み込む。 「千歳に惹かれているのだと、俺はその気持ちを心の中で何度も否定した。怖かったんだ。だから、いろいろと酷いことを言ったな。傷つけた分以上に、俺はこれから千歳と……その子を、幸せにする。……俺を、信じてくれるか?」
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