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レグルシュの言葉で、胸がいっぱいになる。
千歳は身体の向きを変え、大きな胸に抱きついた。
「もちろんです。僕も、レグを幸せにしたい」
レグルシュの抱えていた孤独や寂しさ。
なかったことにはできないが、それらに潰されてしまわないように、守りたいと思った。
レグルシュは穏やかに笑い、千歳の額や鼻先に軽くキスをする。
「不思議だな。千歳が好きなのに、一緒にいると落ち着く。好きになるのは……苦しいことだと思ってた」
好きと何度も言われて、恥ずかしくなり、千歳は眠くなったふりをして、胸の中へと赤い顔を隠した。
レグルシュは鈍感なのかそれともふりなのか、さらに甘い言葉を囁く。
「……あんまり好きと言われると、照れます」
「可愛いな。そんな反応をされると、もっと言いたくなる」
何を言っても揚げ足を取られそうで、千歳は閉口するしかなかった。
運命なんて、信じていなかった。
それでも、人の心は変わるのだ──自分もレグルシュも。
恋が、愛が……それを変えてくれたのだ。
そんな素敵な運命と引き合わせてくれた小さな天使に、千歳は感謝した。
「俺のためにも、泣いてくれるんだな。素敵で綺麗で……強い心を持っている、千歳が好きだ」
誰にも、こんなふうに愛しいと囁かれたことがない。
レグルシュが好きで、愛しい。
毛布の中でもつれ合った手足は、温かさを取り戻してくすぐったい。
「このまま眠って朝になっても、側にいてくれますか?」
「ああ。ずっとここにいる。俺達は、番だからな」
千歳の項には、まだ噛み跡がない。
それでも、本当にその言葉通りのような関係なのだと、千歳は信じている。
──大好きなアルファ……レグルシュ。愛してる。
もうこの想いはどこにも隠してはいけない。
千歳が発した愛の言葉を、レグルシュの唇が飲み込んだ。
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