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「千歳……千歳だろ? 戻ってきてほしいと何度も送ったのに……」
「……拓海」
「やっぱり浮気していたんだな! そいつとそっくりな子供を連れているのを見かけたぞ!」
げっそりと痩せ、自信に満ち溢れていた顔つきは、今はもうその面影もない。
拓海は一枚の写真をレグルシュの前に突きつける。
映っているのは千歳と、レグルシュにそっくりなユキだ。
いつの間に撮られたのだろう……千歳の顔がさっと曇った。
対して、レグルシュは表情一つ変えず、写真を手で払った。
「……で、何が言いたいんだ?」
「は、はぁっ……!? 自分の立場分かってんのかぁ? しらばっくれても無駄だぞ! 隠し子だろ! 千歳……よくも俺を騙したな!」
「こいつは俺の甥だ。俺の子でも千歳の子でもない」
「う……嘘をつけ! だってこんなに……そっくりじゃないか!」
「なら、今から一緒に行って戸籍でも取り寄せてやろうか? もしそちらの主張が嘘だったなら、盗撮で警察に突き出してやるがな」
きっぱりと言い切るレグルシュに、拓海は黙り込んだ。
何もかもが変わってしまった婚約者に、千歳は憐憫の視線を向ける。
ユキのシッターが決まったすぐ後に、警察から相手が自白したと連絡を受けていた。
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