愛人オメガは運命の恋に拾われる

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どちらからともなく、また手を握り直した。 夏は過ぎ、日に日に秋が深まっていく夕暮れは、冷たい空気ともの寂しい色に包まれている。 好きな人と、その愛しい子がすぐ側にいる。もう何も怖くはなかった。 手を繋ぎ直し、レグルシュの横顔を見つめる。 視線に気付いたレグルシュが、名前を呼んだ。 一番側にいることを許されたような気がして、千歳の心は恋の色に染まる。 ──いつか、レグルシュと本当の番になりたい。 愛しい想いが胸の内に募り、幸せなのに千歳を甘く切ない気持ちにさせる。 運命が嫌いだった。 運命の番だと幸せそうに語る両親を、引き裂いてしまった自分が嫌いだった。 けれど、レグルシュとこの子がいてくれるのなら──そんな自分も、好きになれそうな気がする。 ……────。 ──二年後。 レグルシュの仕事が在宅から、ほぼ店舗での仕事に切り替わり、出勤前の朝は慌ただしくなった。 宇野木もレグルシュも休日を返上して働いていて、千歳は心配したのだが。 「自営業ってこんなもんだよ」と宇野木は軽く言った。 都心の一角にオフィスを借り、実店舗も近隣で三店舗増やし、目まぐるしく日々は過ぎていった。 国が離れているせいで、十数年も長引いていた裁判はようやく判決が出た。
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