本当だけの4月1日

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 まー君が私の両肩をくるっと回して自分も外に出る。 「今日はドライブです」 「え! 今日は帰らないって言ってこないと!」  家に戻ろうとする私を慌てて止めるまー君。 「日帰りです!  22時には帰すよ」  それじゃ今までと変わんないじゃん! 「もう朝まで一緒にいても捕まんないよ?」  まー君が私の肩に手を置いた。 「おじさんとおばさんにとっては、法律が変わろうといくつになろうと(えみ)ちゃんが大事な子供であることに変わりはないんだよ。  自分たちの手を離れても変わらず大事にされていくって、俺に任せていいんだって安心してほしい」  『自分たちの手を離れても』『俺に任せて』って、それってつまり! 「ねえ、ドライブってもしかして」  行き先は区役所? それとも式場の下見?  まー君が優しく頷いた。 「助手席へどうぞ」  腕を組んでも振りほどかれなくて、そのまま階段を下りる。式の予行演習みたい! 「今日から私は相田笑里(えみり)になるのね」 「落ち着いて! いずれなるけど今日じゃない!」
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