ハッピーエンド(?)

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ハッピーエンド(?)

大学三年の時に、私たちは、籍を入れたの。 沖縄の、竹富島という、綺麗な島に行って、そこで、ふたりだけで、結婚式を挙げたの。 お天気のいい日だったわ。 白のタキシード姿の源氏の君は、本当に素敵だった。 夜、本島に戻り、一緒に、高級ホテルに泊まって、最上階のラウンジで、お酒を飲んだの。 「ね、もういいかな?」 「なにが?」 「かなちゃんのこと。もう、抱いてもいいんだよね」 私、笑ってしまったわ。 「あったり前じゃない! 私たち、もう、夫婦なのよ?」 「そう! そうだよね!」 「源氏の君は、私が守るわ」 源氏の君は、急に真顔になって、 「僕……もう、源氏の君じゃないよ。裕って呼んでよ」 って言ったの。 「そうね……。裕、裕のこと、大好き……」 「僕も、かなちゃんのこと、愛してる」 その夜、初めて、抱き合って眠った。 私、もう泣かなかったわ。裕のこと、一生、愛して生きていく……。
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