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「……あたし、臭いでしょ……」
あたしが、そう言うと、友梨ちゃんは、きょとんとした。
「えっ? 何の話?」
「口が臭うから……」
そう、あたしが言うと、友梨ちゃんは、笑った。
「何、言ってるの? 全然臭ったことなんかないよ」
「……でも、話してる時に顔を背けたでしょ……」
「えーーっ? そうだっけ? 何か考え事してたんだよ。ごめんね」
友梨ちゃんは、そう言って、手をすり合わせて、頭を下げた。
あたしは、それから、人と話せるようになった。
学校にも、行けるようになった。
もう、クラスのみんなからの声もしなくなった。
あれは、あたしの妄想だったのだ。
みんなに嫌われているのではないか、という弱い心から、始まったのだ。
あたしは、それに気付いたから、良くなった。
でも、あたしみたいな人は、いっぱいいるんじゃないか、と思ったのだった。
ー END ー
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