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短大生に戻れた桜咲、桜貝と就活
お腹触ると…ぺったんこ!
短大生のあたし…?
「大丈夫ですか…?」
その声に目を開けたら、女性の制服の人があたしを見てた。
「電車で調子崩されて、休まれてて。ここ、駅の医務室です」
よかったぁ、戻ってる。
「お加減いかがですか」
「ありがとうございます、だいぶ楽です。あの、今何時ですか」
確か17時頃の電車に乗ってたはず。
「18時前です、少し眠られてて」
「…すみませんお忙しいのに」
ゆっくり起き上がると…スーツ着てる。
「あたし、ここまではどうやって…記憶なくて」
「車内で貧血起こされて、近くにいらした男性が連れて来られたんですよ、お姫さま抱っこで」
「え、うわ、恥ずかし…」
「医療関係の方みたいで、脈取ったり少し様子見られて、さっきまでいらしたんです」
「え!そうだったんですか」
「かっこいい方でしたよ、優しくて」
「お礼言いたいけど、名前とかわかんないですよね」
「お聞きしたんですけど遠慮されて…起きたら飲んでくださいって」
スポーツドリンク買ってきてくれたんだって。
「ありがとうございます、ほんとお世話になりました」
お礼を伝えて医務室を出て、一人暮らしの部屋になんとか帰れた。
「ふーっ」
ずいぶんリアルな夢だったな、と思いながら着替えてジャケット脱ぐと、何かがコロンと落ちて、拾い上げたら…桜貝。
…ん?夢じゃなかったの?
もしかしてあたし、タイムスリップしてた…?
思い出したら途端にドキドキ、恥ずかしくなる。
だって、夢じゃなく本当だったってことでしょ、つまりあの先生に内診…
内診ってさ…お医者さんだし手袋つけてるから診察だけど、素手だったら…
きゃぁぁぁ!
あたし処女なのに…初めてがあれって(泣)
…はぁ
桜貝を見つめてたら、ぼんやりと先生の横顔が浮かぶ。
…めっちゃハンサムで優しい先生だったな。
…痛くもなかったし、って何を思い出してんのあたしは。
名前は、えーと…あれ?思い出せない。
そういえば今日っていつ? 慌てて手帳を確認したらバイトの日。バイト先の薬局に急ぐ。
パートさんに就活のことを相談すると、桜咲ちゃんの笑顔で元気もらえてる患者さん多いから、医療関係どう?と勧められた。
今日助けられたのはご縁があるかも、と思って調べたら、製薬会社で営業募集してる!
こんなに大手の会社は難しいけどダメ元で受けてみた。
面接では、薬局でのバイトで学んだことや感じたこと、タイムスリップだけど…助けられてとてもありがたかった経験も織り交ぜて、今まで受けたどこよりもスムーズに話せた。
貧血で助けられたのはホントだしね。
そしたら…合格!内定通知もらえた、うれしい!!
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