保坂先生、早く来て!!

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保坂先生、早く来て!!

「保坂先生呼んで、早く!あ、保坂先生来てください!!」 …うるさいな、そんな大声上げてるの誰? 「大丈夫ですか?」 さっきの女の人と違って、落ち着いた低めの声。 カチャカチャ、パタパタ、慌ただしい器具や靴、救急車のサイレンとか、たくさんの音が一気に耳に飛び込んできた。 頭が重いなと思いながら、ゆっくり目を開ける。 …ここ、病院? あたしは就活中の短大生。 面接帰り、混んでる電車で冷や汗かいてて貧血なりそうって思ってたら電車が急停車、それでふらついたのまでは覚えてるけど…だからって病院運ばれるほどのことじゃないよね、なんでベッドにいるの? 「大丈夫ですか、聞こえますか?」 「…はい」 「よかった、気がついて」 明らかにほっとしてる白衣の人は…お医者さんよね。あたし、そんなに心配されるほどだったの? 「ぼく、保坂と言います、産婦人科医です」 …え、産婦人科医? 「すみません、いま混んでて場所なくて…とりあえず心音取らせてもらってますけど」 …ほんとだ、お腹の周りにぐるぐるついてる。 先生は周りを見回して 「もう少し静かなとこに移れたらいんだけど…すみません落ち着かなくて」 「あの…どうなってるんですか」 ここ、救急病棟だよね、内科の先生は忙しくていないのかな。 「大丈夫、あなたも赤ちゃんも無事ですよ。」 赤ちゃん?!なにそれどういうこと?? 「部屋空いたのでちょっと移動しましょう、ゆっくり動かしますね」 先生がベッドを静かに押す。 全く意味がわからない。あたしには点滴がついてるし。 ていうか、あたし…処女だよ。 ろくに付き合ったことないのに、赤ちゃんて?!
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