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「ほな、ようやっと用件も済ませた事やし。今度こそ帰るわ」
「あぁ。うん。オフィーリア、元気でね」
「おい! 待てよてめえ! 勝ち逃げすんな!」
そこでようやく口を挟むチャンスだと思ったのか、まだまだ怒り心頭の様子のラキが、オフィーリアの肩を無理矢理掴む。
「あん? ……やから勝敗は保留て……」
「納得いかねぇ! 俺は負けるのが」
「やからそれやん」
「は……?」
特段機嫌を悪くする風でもなく、唐突にそう返すのに、勢いを殺がれたラキが呆けた表情で動作を止めた。
「自分の能力、まともに使えてたら、工夫次第で俺にも勝ててた思うで」
「なん……だと……?」
いきなり言われても理解が追いつかないのか、掴んでた手を放すラキに、オフィーリアが尚も教授する。
「言うたやろ。相手の力量確かめてから喧嘩売れて」
「そんな事……」
「大事やで。俺は一瞬で見抜いた。やから最初、自分の事をスルーしたんや。それでも絶対、喰い付いてくる思てな」
実際、それで更に頭に血が上ったラキは、無謀にもオフィーリアを挑発しまくったのだ。
「あの時点で充分頭に血ぃ上った自分を煽るため、今度は喧嘩、買ったったんや」
「……」
説明されて段々理解してきたのか、ラキが歯噛みしながらも、黙って話を聞く姿勢を見せる。
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