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「俺から挑発して。ほんで実力差をあからさまに見せつけたる事で、最大限まで自分の精神、掻き乱したったんよ」
そうなると、半ば短気に近いラキはどうなるのか。
結果は今まで皆が見ていた通りで、途中からのラキは、完全に我を忘れた状態でがむしゃらに動くだけで、実力を充分に発揮出来ていなかったようにも思えるのだ。
「そのせいで途中から自分、完全に理性失っとった。そないなったらもう、そこからは俺の独壇場や」
そこまで言って、オフィーリアがにやりと意地悪く笑う。
「後は自分が何したかて、どない足掻いたかて俺の思た通り事が運ぶだけ。めっちゃ簡単やったで、自分操るん」
「……テメェ……! 最初っから全部、計算済みでの行動だったのかよ……!」
いやはや、心を操るなどと、何とも恐ろしい話ではあるが、それが事実であるならばヴァイスや近隣諸国で囁かれていた噂も、あながち間違いではなかったとも言える。
やはり、オフィーリア=コーラルブルーを怒らせてはいけないのだ。
「ま、後は自分で噛み締めて考えて、強うなれや。俺から言えるん、ここまでやさかい。ほなな」
ひらひらと手を振り、道場を後にしたオフィーリアの背中を、鋭い目付きで睨みつけたラキが悔しそうに吐き捨てる。
「化け物かよ……! あの野郎……!」
「ヴェルセルク君……」
まぁ、初対面からあれだけ良いように扱われては、どうしようもなく悔しいし、かなりの度合いでムカつくだろう。
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