第ニ章・ー攻防ー

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 そんな彼に、オフィーリアが実は四大霊鬼“蒼”を相手取り、稽古三昧で強さと戦闘のセンスを磨き、まとも以上に闘える“昏きもの”であるのは、口が裂けても言えないなぁとか、シェイカーが胸中で呟いている頃には、もうすっかり日も暮れていた。  ……バレンタイン、終わったな。とか、イースタン親子、特に張り切っていたテイラーには悪いのだが、乱入して場を穏便に納めようとしたオフィーリアに、悪気はなかったのだから仕方ない。  しかし、それにしても、と。シェイカーはふと考える。  いつものオフィーリアならば、必要以上には指南せず、自分で考えて強くなれと示す筈なのに、何故今回に限っては饒舌だったのかとーー。  見たところ、不機嫌どころかオフィーリアにしては珍しく、終始上機嫌だったように思えたので、気紛れなのかなとは考えたのだが、生憎と明確な答えは出ないまま終わった。  まぁ、とにもかくにも、この場にアンダーテイカーがいなくて良かったなぁとか、無理矢理ポジティブ思考に持っていく。  そして持たされたプレゼントの包みを見詰める。 「ヴェルセルク君、オフィーリアは無駄な事は言わないし、しない主義だよ。そんな彼があそこまで言ったんだから、きっと、君の中に成長出来る振り幅があるのを見抜いたんだろう」  取り敢えず慰めるかと声をかけたのだが、舌打ちされて睨まれる。  ラキもまた、会話の中で何となくオフィーリアが言わんとする事を理解出来たのか、そこが気に喰わないようだ。
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