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「じゃあ、これからは……。改めて、あたしたちだけで生きていく、ってことだね。博士が言ってたけど、腐るのが遅い男を探しながらね。でもまあ、見つからなかったら仕方ないし。あたしたちだけが、人類の子孫を残す役目を担ってるわけじゃないだろうしさ」
瀬里奈のその言葉に、加奈子も「そうよね」と頷き。咲月は「そうですね……」と考えながら、自分の想いを伝えた。
「もし見つからなかったら、そんなに無理に探す必要はないかなとも思います。博士は人類の寿命が尽きようとしていると言ってましたが、ここで新たな命が生まれれば、また変わっていくかもしれませんからね」
咲月はそう言いながら、自分のお腹を優しく撫でた。瀬里奈も加奈子も、「マジで?!」「えー、ほんとに?!」と驚きの表情を隠せなかった。
「はい……博士には言えないままだったんですけど。この子が生まれれば、新しい未来が始まるのかも……なんの根拠もないんですけど、今はそう願っています」
「もう、やるじゃん博士!」
「幾つになっても男は男だよね~、ほんとに!!」
2人の冷やかしに咲月は照れまくっていたが、それは同時に自分への祝福であることも、もちろんわかっていた。……あたし1人じゃない。瀬里奈さんと加奈子さん、そしてこの子がいる。そう簡単に「終わり」には出来ないわ……!
こうして3人はロッジを後にし、新たな未来への一歩を踏み出した。博士の仮説が当たっているのか、それとも咲月の願いが叶うのか。それはまだ誰にもわからないが、女神のように逞しい3人の「戦士たち」の前には、輝かしい未来が待ち受けているように感じられた。
「……でもさあ、安藤さん、咲月ちゃんに気があるみたいだったじゃない?」
「そうですか? もともと、瀬里奈さんのことが好きだったんじゃ?」
「そうねえ~、瀬里奈さんに後ろ髪引かれつつ、隙あらば咲月ちゃんをみたいな、そんな感じだったのかも」
「まったくもう、これだから男ってのは……」
「女の腐ったのとかよく言いますけど、結局男の方がみんな腐っちゃいましたもんね」
「あははは、上手いこと言う!!」
最後に思いきり「いいカッコ」したつもりが、まさか逞しい女神たちの、話のネタにされているとは。天に召された安藤には、知る由もなかったのだった。
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