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「瀬里奈さん、こいつら案外、モロいよ?!」 「うん、うちの男連中もモロくなってるみたいだけどね。加奈子さん、やっちゃいましょう!!」  強面のヤンキーどもが、実は体が腐りかけてボロボロの状態にあることに気付き。2人は堂本と須田の周囲にいたヤンキーたちに、正面切って戦いを挑み始めた。 「それっ、それそれっ!!」  加奈子は尊敬する堂本の両腕を自分の両手で自由自在に操り、ヤンキーどもを次々になぎ倒す。ヤンキーたちも、ヘタに抵抗すると自分たちも「体のどこかがもげる」と悟り、迂闊に手を出せなくなっている。ますます加奈子は勢いづき、「逃げるんじゃないわよ、こら!」とヤンキーどもを追い詰め始めた。 「とりゃっ! とりゃあああ!!」  瀬里奈は空手の先生に教わっていた甲斐があったのか、加奈子よりも手練れた身のこなしで、愛する須田の両足ヌンチャクを振り回し。何人かのヤンキーをヌンチャクでなぎ倒したところで、そのヌンチャクが「膝からポロッと」もげてしまったのに気付き。「もう、役に立たないわね!」と足を投げ捨て、「どりゃあああ!!」とヤンキーの顔面に正拳を撃ち込んだ。ヤンキーの顔はまるで粘土細工のように、「めりっ」と拳の形にめりこんだ。 「……雄の体は腐敗が進行し、手や足が、首までもが簡単にもげてしまうようになっておる。そして雌の体はその逆に、少しでも種の保存を目指す為、体格や身体能力が上がっている。こういう結果になるのは、予想出来たことだったな……」  加奈子と瀬里奈の猛烈な戦いっぷりを、唖然と見つめていた安藤の元に。博士がそう言いながら、ヨロヨロと近づいて来た。 「君も恐らく、体のどこかが脆くなっているのだろう? かくいう私も、だがね……」  博士はそう言うと、自分の着ていたシャツを胸元までめくり上げた。博士のどてっ腹には大きな穴が開いていて、穴越しにその向こう側の景色がクッキリ見えるほどだった。 「さっき、あいつらの投げた石が背中に命中してね。石はそのまま腹まで貫通し、こんな有様になった。もう私も、長いことはないだろう……」
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