天空の竜とナーガ

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だが、ナーガにとってセレは特別な人物だった。 ナーガは翼竜という魔獣の血を引いている。 何百年も昔の祖先は、身体を羽毛に覆われ立派な翼を持ち、大空を飛び回る事ができた。 その頃には『天空の竜』という魔獣の頂点である生き物も存在した。全身を青白い金属質の鱗に覆われ、三対の翼を持つ美しい竜だ。 天空の竜は『幻獣』『神獣』『雷獣』などとも呼ばれ、人々から畏怖と尊崇を持たれていた。 しかし、その力とは裏腹に、普段は人間の姿で『ファーダ』と名乗りナーガの祖先達とごく普通に暮らしていた。 ただ、時折強い飛空衝動に駆られて竜の姿に戻り何日間も世界中の空を飛び廻る。 その時に身体が帯電し、ところ構わず放電してしまう。それが「雷獣」と呼ばれる所以だ。 落ち着けばまた人間の姿になるが、どこをどう飛び回ったのか分からず、なかなか翼竜の村に帰れない事もしばしばだった。 「地」「水」「火」「風」それぞれの魔法の力も強いので全く方向を見失なうという事は無い。しばらくすれば戻って来るのだが、翼竜達はいつも心配だった。 そこで、翼竜の中でも特に魔力の強い者達が天空の竜の力を抑える方法やアイテムをあみ出した。 そんな事もあり、ファーダと翼竜の絆は深くなっていった。
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