天空の竜とナーガ

5/5
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
ナーガはロストークからずっと西の平原で生まれた。翼竜の一族の中で育ち「天空の竜の魂を受け継ぐ者」の伝説を何度も聞かされた。 ある夜。不思議な夢を見た。 天空の竜が大空を一直線に飛んで行く。 …ああ、ロストークの方角だな… と見ていると、王宮に舞い降り白い光になって消えた。 夢はそこで終わり目覚めたが、一瞬、天空の竜とそっくりの波動を感じた。 …誕生だ!天空の竜の魂を受け継ぐ者の!… ナーガは確信した。 …すぐにでもロストークに行きたい!その方にお会いしたい!… しかしまだ少年の彼が一人で行くにはロストークは遠すぎた。 それにロストークに着いたとしても、「天空の竜の魂を受け継ぐ者」もきっと幼い筈だ。 結局、20年ほどを経てやっと旅立つ事ができた。 ロストークには無事に着いたが、肝心の『天空の竜の魂を受け継ぐ者』は見つからなかった。 「そんな者はいないよ。見た事も聞いた事もない。」 どこで訊ねても答えは同じだった。 …ファーダ様の子孫なら王女か王子だろうし、強力な魔法使いのはずだけど… ナーガは王宮周辺で聞き込んだが、どうもそれらしき波動すら感じられない。 ナーガはある程度は他人の思考も読み取れるし、魔法使いの波動も感じ取れる。 それでも見つからなかった。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!