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「全く、子供相手に……」
呆れる早紀と目も合わせられず縮こまる。
「カイザーになってくれるんじゃなかったの?」
「だって、パパギドスからパパドルガーにされた俺はどうしたらいいの?」
ギドス(怪人)からカイザー(ヒーロー)になると約束した俺は何とか早紀が納得する答えを探した。
だが、早紀の無言の圧力でそれではダメなんだと知る。
「渉?前、ベルトがどうとか……」
「そう!気分的にその方がいいかと思ってベルト借りようとしたら「それは孝真のっ!!」って触らせてもくれなくてさぁ!」
つい最近の孝真とのやり取りを思い出しながら弁解するが、早紀はにこりともしない。
「孝真は今、トゥルーよ」
「はぁ?」
「だから、カイザーのベルトは空いてるけど?」
また新しい名前が出てきてそれさえ理解できていないのに空いている?何が?
俺が怪訝な顔でもしていたのか、早紀はため息を吐いて歩いて行こうとする。
それに手を伸ばして止めたが、早紀はスルリと抜けて行ってしまった。
「あー、クソっ……」
ボスッとソファーに拳を埋めると、視線を感じてそっちを見る。
そこには腰にまた見たこともないベルトを着けた孝真が居た。
「ママはぼくがまもる」
ソファーに座り直して目の前でポーズを決めた孝真の頭を撫でると孝真はきょとんとする。
「お前は本当、ちゃんとママを守ってて凄ぇわ」
不思議そうな顔の孝真を俺は真正面から見つめた。
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