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こいつ、役者だなぁ……。
思わず感心すると、孝真は再びこっちに銃口を向けた。
「トゥルース・ショット・ハイパーっっっ!!」
銃口は赤く点滅し、ドコドコシャラシャラと音楽も鳴る。
しかも、『うーぅ!ハイパー!』などと力の抜けるセリフまで聞こえてきた。
それでも真剣な孝真を見ていると、孝真は銃口にフッと息を吹きかけてそれをベルトのホルダーにしまう。
「かんたんにはいかないか。……だが、あんしんしろ。かならずおれがもどしてやる!」
それだけ言うと、今日は着けてもいないマントをひるがえすようなフリをして孝真はリビングを出て行った。
「……は?」
取り残された俺の耳に「ママー!のどかわいたー!」といつもの調子に戻った孝真の声が届く。
「え、どこまでがごっこ?」
やたら核心を突かれた気がしたセリフを思い出しながらソファーに身を預けた。
「……真の姿ねぇ」
目を閉じて考えてみる。
早紀のお腹に手を当てて
「お前らまとめて守ってやるからな!」
「ふふっ、聞こえた?頼もしいねー!」
誓った俺の手に早紀も手を添えて微笑んでくれた姿。
そうだよな。全力で守ろうと思ってたんだよ……。
確かに、妊娠した早紀とお腹の中の孝真に誓ったはずだった。
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