3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「何?」
キッチンで夕飯の支度をしている早紀の隣に並んで腕まくりをすると、早紀は不思議そうにこっちを見る。
「洗い物くらいならできるから」
何となく気恥ずかしくて早紀の顔は見れなかった。
鍋やボウルを洗いながらチラッと今は車で遊ぶ孝真を見る。
「ごめんな」
「何?それなら“ありがとう”がいいんだけど?」
水を流しながら誤魔化したのにしっかり聞こえていたらしくて早紀は手を止めて微笑んできた。
「……ありがとう」
その腰を抱き寄せると、早紀はくすくすと笑う。
「あー!ママからはなれろ!」
いつの間にかこっちに来ていたらしい孝真がわざわざ俺と早紀の間に入ってきた。
早紀の足にくっついているくせにこっちを睨み上げる姿はちょっとイラッとする。
「ぼくのママになにするんだ!」
「だから、早紀は俺のだっつってんだろ!」
わかっているはずなのにおもしろくなかった。
「ママはぼくのだもん!ねー?ママはぼくのことすきだもんねー?」
「は?俺が結婚してんだよ!早紀は俺の……」
「もー、子供相手に……」
言い合う俺らを見て早紀が小さく息を吐く。
カイザーだかトゥルーだかよくわからないけど、俺と孝真、俺たち父と息子の戦いはまだまだ続……く?
最初のコメントを投稿しよう!