第52話・不審者

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第52話・不審者

 その日の夜。 『今から駅出る』と言う謙太(けんた)からのメールを見て、龍之介(りゅうのすけ)は夕食の仕上げに取り掛かった。  普段なら駅から十五分ほどで着くはずなのに、この日は少し遅かった。  何かあったのかと心配していると、玄関のドアの向こう側から足音が聞こえてくる。  足音は一人分ではなかった。  ドアに近付いて気配を探ると、片方は謙太で、もう片方は若い女性のようだった。 「すみません助かりました~!」 「いや、困った時はお互い様なんで」 「本当にありがとうございました。じゃあ、また」  そんな会話が聞こえてきた。  同じ階の住人の女性のようだ。
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