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「ただいま」
「……おかえり」
何故か龍之介の声には棘があった。
向かい合って夕食を食べながら、先ほどのことを尋ねてみる。
「なんかあったのか?」
「駅から変な男につけられてるって言うから一緒に帰ってきた」
「……そういや、エントランスに変質者注意の張り紙があったな」
「あーそれ。朝、小千谷さんが言ってたやつだ」
お人好しの謙太のことだ。帰り道の途中で困っている女性を見兼ねて声を掛けたのだろう。
ちなみに、管理人を名前で呼んでいるのは謙太だけだ。一番付き合いが浅い癖に一番馴染んでいる。
「リュウも外に出る時は気を付けろよ」
「……俺は成人済みの男なんだが???」
少しだけモヤモヤした気持ちを抱えたまま、龍之介は悪態をついた。
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