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第4話・やっぱり自覚が無さ過ぎる
「頼むから一緒にいてくれよぉ!」
奥さんに家出された謙太は、親友である龍之介に助けを求めた。
この男、なんと今まで自分の子どもと二人きりで過ごしたことがないという。
「寧花がトイレの時とか見てたことあるもん」
「長くても数分じゃねーか威張んな」
このレベルの低さである。
さすがに知らん顔して帰るほど龍之介も鬼ではない。謙太はまだ混乱していて、父親とはいえ子どもの命を預けるには心許ない。
これも陽色を死なせないためと割り切り、泊まることに決めた。
「はぁ〜……なんかハラ減ってきた」
「リュウ、晩飯まだだったのか」
「久々の休みで昼からずっと寝てたんだよ。誰かさんから電話がかかってくるまでな」
「わ、悪い」
睨み付けると、謙太はしょぼんと肩を落とした。
「なんか買ってくる。近くにコンビニあったよな」
「ああ、マンション出て左曲がったとこに……エッ待って待って、おまえコンビニ行っちゃうの?」
「ハラ減ってんだよ」
「オレが行くから! リュウは待ってて!」
「いやいやいや、待てよ。おかしいだろ。久々に会った友人に留守を任すな。第一、ケンタが居ない間に寧花さん帰ってきたらどーすんだ。俺めちゃくちゃ気まずいだろ」
「そんなすぐ帰ってくるならむしろ大歓迎だわ!」
それもそうかと龍之介が納得している隙を突き、謙太はさっさとコンビニに出掛けていってしまった。
こういう時ばかりフットワークが軽い。
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