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叫びながら会話をしている間もモンスターはどんどん迫ってくる。当たり前だが足の速さはモンスターの方が上だ、このまま走っているだけなら追いつかれて殺されるだろう。
「とりあえず僕が棒で戦います」
「その次に俺が急所に噛み付くのが妥当か!」
その会話が終わった瞬間サウザンドは走っている勢いを使って目の前の木を蹴り飛ばすようにして方向転換をすると急速にモンスターに突っ込んでいく。それなりに至近距離まで来ていたらしくモンスターは咄嗟に避けるということができなかった。サウザンドは持っていた二本の棒を勢い良くモンスターの目につき刺した。
「はあ!? なんかすげえんだけど!」
あまりにも正確なその攻撃にスノウは驚きながらもがき苦しむモンスターの喉笛に噛みついた。馬位の大きさがあるのでスノウからすれば相手の方がかなり大きい。噛みつくことができても食いちぎることができるわけではないので、あまり致命傷にはなると思えない。モンスターは大方の種族が回復力が高いからだ。
しかし、モンスターは目を潰された時以上に苦しみのたうち回りスノウ引き剥がそうとする。その様子にサウザンドは腰につけていた小型のナイフを取るとモンスターの下顎の関節に向かって突き刺した。突き刺したままにしておけば回復を遅らせ、少なくとも噛み付く力はもうなくなったといえる。そのままスノウがしばらく噛み付いているとついにモンスターが動かなくなる。
チラリとスノウがサウザンドを見つめてくるので、なんとなくとどめを刺せと言われているような気がしてナイフを抜くとモンスターの腹を思いっきり切り裂いた。肥大した内臓が飛び出てきたが、サウザンドは表情一つ変えずにそれらを外に引っ張り出すと心臓を見つけて真っ二つに切断する。それを見てスノウはようやく噛み付いていた喉笛から口を放した。そして。
「うげえええ~!」
盛大にその場で吐いたのだった。
「大丈夫ですか」
まさかモンスターの血に毒等が入っていて体調不良を起こしているのだろうかと心配になったが、スノウはモンスターをなるべく見ないように正反対の方向を向いている。
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