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「今話した内容は少なくとも僕の中で馬鹿にする理由じゃないです。高い声は広い場所でも遠くまでよく聞こえるでしょうし、戦闘の時連携が取りやすいのでは」
その言葉にスノウはもちろんリズも少し目を丸くした。そしてリズは穏やかに微笑む。
「やはりあなたを選んで正解でしたね。討伐隊試験の点数は低かったですが、適性診断の能力値は他の人とは違ってある一箇所がほぼ満点だったのでスノウと組むことを私が決めたのです」
「なんだよそれ、初めて聞いたぞ。こいつの何がそんなに優秀なんだ」
「体力、知力など一般的に必要とされるものは確かに平均より少し下でしたが。物事を多角的に見る"客観視"が長けていました」
物事を主観で見るのは人であれば当たり前だ。しかし窮地に陥った時ほど思い込みを捨てて冷静に考える能力が必要となる。この能力はあまり一般的には注目されていないが、主人の性格がリーダーシップの強い者ほど客観視の高い部下が相性は良いとされている。リーダーシップが強い者は良くも悪くも突き進み続けるタイプが多い。それを冷静に見つめブレーキの役割となる者が必要となるのだ。
「歴史を見ても強い国というのは、強い英雄の傍らに必ず冷静な参謀がいます。彼はスノウにぴったりだと思って私が推薦しました」
その言葉に改めてスノウとサウザンドはお互いを見つめる。スノウからしてみたら動物の主が一般的に嫌われ見下されているのは百も承知だ。役立たずの烙印を押された者は動物の主人が気に食わず組むことを拒否して討伐隊の入隊自体を諦める者も多い。とりあえず試しに組んでみても結局動物にこき使われるのなんかごめんだと長続きしない者がほとんどだ。
どれだけ綺麗事を並べても英雄にもなれないうえ付加価値も生まれないものに命と忠誠を誓う者など誰もいない。それは覚悟していた。実はスノウは人間を紹介されるのが今回で四回目だ、前の三回はすべて辞退された。
だからこそ卑下するわけでもなく威張るわけでもない、当たり前のように自己紹介をして己をまっすぐ見つめてくるサウザンドにスノウは少しだけ戸惑った。
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