春夫の場合

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 父親の母校は県立高校だったが卒業後上京して大学に進学したのだった。父は東京都の大学を卒業していた。  お墓参りをして伯母は気分良さそうだった。  神社によってそばの住宅街を見たら幼い頃だった。確か三歳になりたての頃に来たことを思い出した。そのころから変わっていなかった。見覚えがあって、そこをしばらく見ていた。その日は行楽していた。翌日最後の日に鯉の刺身を食えた。うまかった。鹿児島県の鯉をたくさん食った。いいえさを食べているらしかった。品のいい味だった。それはうまかったこと。  それで伯母の運転する車に乗って空港に向かった。  伯母と仲よく話して過ごした。  そこで憧れの娘を思い出したがそれまで思い出さなかったのだった。  春夫はその時生まれてはじめて彼女との関係を望んでいるのに気が付いた。「いやらしい」と彼は思い、そんなことを思うようではいけないなと思っていた。  旅客機に乗って東京都に向かったがかなり高いところを飛んでいるのがわかった。  日本列島の一部の形が見えたからであった。日本地図のようなものが窓から見えた。あれは日本の陸地なのかと彼は思った。旅客機の窓からの日差しが強くて暑かった。暑いというより顔面が日差しで痛かった。羽田空港に戻れた時は気分よかった。
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