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第2章:この気持ちに名前を付けるなら
「ドリンクいっかがですかー!」
休憩時間には二体のアンドロイドがいくつかのコップを載せたトレイを両手に持ち、Tシャツにショートパンツ姿で休憩所内をローラースケートで走り回る。これは毎日恒例の風景で、作業場から戻ってきた人間、アンドロイド問わず、彼らを呼び止めてコーヒーをもらい、ときには会話をしている。
二人は中性的なかわいらしさを持つ、双子のアンドロイドのアイとルイだ。もともとアイドルとして売り出された彼(彼女?)は、この地下で唯一、稼働できる状態で地下にやってきた最新型のアンドロイドだ。構造上、馬力を使う作業に向いていないため、娯楽要員歌として休憩時や有事のイベントでエンターテイメントを見せてくれる。休憩時のドリンクデリバリーは彼らの仕事だった。
「陸先輩、オイルウォーターをどうぞ」
「ルイ、いつもありがとう」
黄色のふわふわヘアのルイが、陸にコップを差し出す。アンドロイドにはオイルウォーター、人間にはコーヒーを配っているようだ。ルイは、自分よりも古い型番である陸のことを先輩と呼ぶ。
「あ、ルイ。ずるいよ。今日はアイがりっきゅんにドリンクあげたかったのにぃ」
ピンクのふわふわヘアのアイが慌てて駆け寄ってくる。
「私もいただきます。二人はいつも陸を取り合っていますね」
「そ、そんなんじゃないです」
隣のペッパーもルイに差し出されたオイルウォーターを手に取る。
「陸先輩は誰にでも優しくて、アンドロイドの鏡です」
「そうそう! それに、りっきゅんはかわいいもん」
「二人ともやめてよ」
拓也から二人の教育係を頼まれたのがきっかけだが、それ以来二人はとても陸に懐いてくれている。
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