第2章:この気持ちに名前を付けるなら

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「りっきゅん」 「え、なんですか?」  そんな気持ちとは裏腹にこみ上げてくる涙をぐっと抑え、振り返るとそこには寂しそうなアイとルイがいた。 「お友達に会いたいよね?」 「会いたくないってことはないですが、僕は今のままでいいんです」 ――二人に会えなくても、僕には拓也がいる。  もし二人に会うためには拓也と離れなければいけないというなら、その選択肢は選ばない。今、自分がこうして楽しい毎日を過ごせているのは拓也が助けてくれたからだし、拓也さえいれば自分は今のままでいい。 「陸先輩、観月博士に知らせてきてあげたらどうですか?」 「それがいい。たしか、研究室にはテレビがないからな」 「そうと決まれば、りっきゅん、早く行ってきて!」 「でも、まだ仕事が」 「大丈夫ですよ。これは緊急の伝達事項です。私達がうまく言っておきます」  ペッパーとソルトが二人で、ぐっと親指を立てた。 「みなさん、ありがとうございます」  陸は彼らに深々と頭を下げ、小走りに休憩所の出口に向かう。振り返ると、彼らは陸の背を笑顔で見つめていて、陸と目が合うと手を振った。 ――みんなとも別れたくない。  ここには自分と仲間がいる。自分の居場所はここなのだ。陸はそう安堵して、観月のいる研究室に向かった。
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