第4章:貴方の願いを叶えるために

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「誰だ?」  背後から声をかけられ、陸は思わず振り向いた。そこには、ビニール袋を手に下げ、ラフなジャージ姿で立っている男性がいた。 「あ……っ」  ここの家主だろうか。逃げたほうがいいと判断されたが、敵ではない可能性に賭けたい陸は動きを止める。 「そのコスチューム……おまえ、まさか、陸か?」  名前を即当てられ、まずいと思った。一目見て、自分のことがわかるなんて、ただものではない。 「待て、回避行動を取るな。おまえに危害を加えることはしない」  その言葉に、陸は足を止める。回避行動というアンドロイド特有の行動用語、間違いない。この人はアンドロイドの開発知識のある人間だ。 「貴方は……」 「俺は、土井光。今はフリーだが、アンドロイド技師だ」 「土井、光……」  その名前を聞いた瞬間、陸は足元から崩れるように、座り込んだ。 「おい、陸!」  土井光と名乗る男は慌てて駆け寄ってきた。 「充電、なくなりそうなのか。他に損傷はないか?」 「あり……ません」 「わかった。よくここまで頑張ったな。あとは任せろ。悪いようにはしない」 「お願いしま……す。目が覚めたらたくさん伝えたい……ことが、あります」 「わかった。大丈夫だから今は休め」 「拓也……土井光に会えました……拓也…」  身体の中であらゆる回路がシャットダウンしていく中で、それでもうわごとのように観月の名前を呼び続け、陸の意識は消えた。
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