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「それでは陸、一番最初に聞きたいことがある」
「なんでしょうか」
「拓也さんは元気にしてるのか?」
光の口からあまりにも自然に観月の名前が出てきて、陸は一瞬、躊躇する。
「どうして、その……」
「君が眠っている間に身体を診た。厳重なロックがされていた。こんな複雑なロックができるのもあの人だけだ」
「つーか、マジで拓也さん、すごいわ。回路も整備の手本みたいに綺麗だし、プログラムも無駄がないのに機能的で、俺よりすごいアンドロイド技師なんてこの世にいないと思ってたけど、拓也さんが生きてるなら、俺は日本で二番目だ~」
拓也がすごいことは陸が一番理解しているが、光の自信過剰な発言が気になるのだが、どうしたら。
「陸、こいつのこれは病気だから、ほっといていい」
「はい、それならよかったです」
「おい。どういうことだよ」
よかった。どうやら直人は話せる相手らしい。
「話は戻るが、拓也さんが君を連れ出したのは廃棄の日か?」
「はい。そのときの記録は消されていますが、僕が再稼働したのは、リコールから十年後で、それからはずっと地下で生活していました」
「地下では何を?」
「廃棄アンドロイドを仕分けする仕事をしていました」
仕分けされた後、まだ使えるアンドロイドは再生されるわけだが、廃棄処分したアンドロイドを修理するのは不正改造になり法律違反だ。当然、修理していた拓也に加担していた陸も同罪となる。
「拓也さんが、ナイトジャックなのか?」
「……はい。その名前は地上では知られていますか?」
「ああ、あまり良くない噂だが。それが拓也さんだって確信したのは不正改造されたアンドロイドを診たときだ。技術が高度すぎて、逆に俺は拓也さんしかいないと思った」
「光と直人は拓也とは、どこで?」
さきほどから親しい関係であるのは間違いなさそうに思うが、観月から二人の名前を聞いたことがない。
「俺たちがトニーエリクトン社に入社したとき、拓也さんは開発マネジャーだった。とても世話になった」
「そうでしたか」
「まぁ、俺は子供の頃にも拓也さんとは会ってる。たぶん俺は陸とも会ってるよな」
「ええ、記録があります。光は土井博士のご子息ですね」
「そうだ」
「拓也が、地上に出たら、あなたを訪ねろと言いました」
「俺に? なんで?」
「おそらく拓也は、僕と貴方でしてほしいことがあると思います」
「もしかしてそれはハダリ―が関係しているのか?」
陸が頷くと、光と直人は再び顔を見合わせた。
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