第5章:幾数年の時を超えて

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「そうだよな。なんとしてもテロを止めないといけない。陸、もう一度最初からスキャンかけさせてくれ」 「光、どうやらゆっくりしてはいられないみたい」 「どういうことだ、海」  海の言葉の意味は、少し遅れて陸の脳内にも届いた。それは信じられない内容だった。 「ハダリーはアンドロイド技師たちを人質に取ってる」 「なんだって?」 「今、追加でニュース速報を受信した。拓也もこの中にいるかも」 「マジか」  観月に対して、しばらく見ていろとキングは言った。それはテロそのものを引き起こすのに観月の存在は必要ないのではないかと思う。そうなれば、不要な存在は生かしておく必要がない。 「陸、大丈夫?」 「大丈夫。僕が慌てて取り乱すなんて、きっと拓也は望んでないから」  極めて冷静を保とうとしているが、油断すれば観月を探しにここを飛び出しかねない。不安じゃないはずがない。 「待って。まだ終わりじゃない」 「なんだと?」  海はじっと耳を澄ませる。 「今から十二時間後にアンドロイドによる総攻撃を仕掛ける」 「十二時間後? 何時だ?」 「今は正午なので、午前0時です」 「タイムリミットは十二時間ってことかよ。クソッ」  光はイライラした様子で頭を掻くと、光のポケットの携帯が鳴った。 「もしもし。ああ、海から聞いた。うん、うん、そうか。じゃあお前はそっちに向かうんだな」  どうやら声のトーンからして、電話の相手は直人のようだ。 「わかった。じゃあ、わかり次第、陸を連れて行く。お前も気をつけろよ」  短い会話で電話を切った。 「今のは直人ですよね」 「ああ。どうやらハダリーの地下組織の場所が特定できそうだという情報が入った。突入できそうなら陸に案内を頼みたいとのことだ」 「もちろんです」 「ボクも行く!」 「海は家にいろ。最悪、お前は電源を切っておいた方がいいかもしれない」 「それは総攻撃側に回るかもしれないってこと?」 「これはお前の意思とは関係なく、起こる可能性がある」 「海、僕たちが人間に危害を加えるようなことがあってはいけない。ここは光に従おう。そうじゃなくても勝手に電源が入るかもしれない」 「わかった。光に従うよ。ねぇ、まだ時間があるなら解析を続けようよ」 「そうだな。俺たちにできることはそれくらいだ」  海と陸は顔を見合わせ、頷いた。
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