第10章:二人の新しい世界

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「どの道を選んでも、拓也は拓也です」 「うん」 「僕の気持ちは変わりません。拓也に気持ちが変わっても」  ふっ、と観月は寂しい表情を見せた。 「辛いね。僕は人間とアンドロイドの違いを知ってるから否定できない」 「いいんですよ、それがあなたらしいところです」 「僕が他の人を好きになったら叱ってくれ。そして何がなんでも連れ戻してくれ」 「そんなことしていいんですか?」 「浮気は男の甲斐性だからね」 「わかりました」  観月が、そんな性格じゃないことくらい、知らない陸ではない。 「君に見せたいものがあるから、寝室に連れていってもいい?」  そんなことわざわざ聞かなくても。観月が一緒なら、どこにでも行くのに。陸は黙って頷いた。  寝室は二階にあるとのことで、観月についていく。観月は、ここだよ、と階段を上がったすぐにあった部屋の扉を開ける。 部屋の中央にキングサイズのベッドが視界に置いてあり、天井は天窓になって陽の光が差し込んでいる。そういえば、午前中の退院だったので、まだ正午過ぎだった。部屋が明るいはずだ。 「そういえば、家具やシーツはどうしたんですか?」 「直人に頼んだよ。あいつはセンスがいいからね」  確かに光はこういうのが苦手そうだ。 「わ、とてもサラサラでしっとりしてます!」  ふと触ったベッドにかけられたタオルケットの手触りが良くて驚く。 「ピーチスキン加工っていうらしい」 「気持ちよさそうです」 「中に入ってごらんよ」  観月がタオルケットをふわ、と広げたので、陸は勢いよくベッドに飛び乗り体を預けた。 「うわー。気持ちいいですー」  頬をすり寄せてみると、まるで優しく撫でられているようだ。時々観月の病室のベッドに潜り込んではみたが、こんなに肌触りは良くなかったはずだ。 「気に入った?」 「はい!」  陸がタオルケットにくるまり、顔だけ出して返事をすると、観月が優しいまなざし見つめている。そして手には小さな箱を持っていた。 「見せたいものは布団じゃなくて、こっち」 「なんですか?」  ベッドに座った観月のそばに陸は近づいた。
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